一人親方として独立するには?経験年数・準備・手取りの目安と、社員に戻る道

職人として経験を積むと、独立して一人親方になる道があります。日当は上がりますが、保険・道具・車・税金を自分で負担します。独立までの道筋と、決める前に計算しておきたいことをまとめます。
独立するまでの目安
一人親方として独立するのは、経験5〜10年が一般的です。目安になるのは、次の3つがそろったときです。
- 図面を読み、段取りから仕上げまで1人で任せてもらえる
- 仕事を出してくれる元請・工務店が2社以上ある
- 3〜6か月分の生活費と、道具・車の資金がある
1社からの仕事だけで独立すると、その会社の仕事が減ったときに収入がなくなります。また、1社の指示どおりに働く形は、実態が雇用に近い「偽装一人親方」とみなされることがあり、労災や保険の面で不利になります。
独立するときの手続き
| 手続き | 窓口 | ポイント |
|---|---|---|
| 開業届・青色申告の申請 | 税務署 | 青色申告にすると、帳簿をつける条件で控除が受けられる |
| 国民健康保険・国民年金 | 市区町村 | 会社の社会保険から切り替える(建設国保に入れる場合もある) |
| 労災保険の特別加入 | 特別加入団体(一人親方の団体) | 一人親方は労災保険に自動では入れない。多くの現場で加入が入場の条件 |
| インボイスの登録(必要な場合) | 税務署 | 取引先が求めるかどうかで判断 |
| 建設業許可(必要な場合) | 都道府県 | 1件500万円(税込)以上の工事を請け負う場合に必要 |
建設キャリアアップシステム(CCUS)に技能者として登録しておくと、経験や資格を現場で示しやすくなります。
手取りの目安(試算)
社員と一人親方では、同じ日当でも手元に残る額が違います。
| 項目 | 一人親方の例 |
|---|---|
| 日当 | 2.5万円 |
| 月の売上(22日) | 55万円 |
| 経費(道具・車両・燃料・保険など。売上の3割として) | 約16.5万円 |
| 経費を引いた額 | 約38.5万円 |
| ここから払うもの | 所得税・住民税・国民健康保険・国民年金・労災の特別加入の保険料 |
※作例の試算です。経費の割合は職種と働き方で大きく変わります。雨の日・閑散期は収入がありません。
社員の月給35万円と比べると多く見えますが、社員は会社が社会保険料の半分を負担し、道具や車も会社持ちのことが多くあります。ケガや病気で休んだときの収入もありません。
独立して良かった例・困った例
- 良かった例:腕を認めた工務店から、繁忙期に指名で仕事が来る。単価の交渉ができる。
- 困った例:取引先の倒産で、売掛金が回収できなかった。ケガで2か月休み、収入がゼロになった。
社員に戻る道もある
一人親方から社員に戻る方もいます。年齢を重ねて体の負担を減らしたい、家族のために収入を安定させたい、という理由が多くあります。職長や施工管理の補助として、経験を評価する会社もあります。施工管理技士の資格を取って、施工管理に移る道もあります。
独立してから続けるために
独立して長く続いている一人親方には、共通点があります。見積書と請求書を毎回書面で出す、入金の期日を取引先と決めておく、3か月分の生活費を手元に残す、繁忙期でも安全の手順を省かない、の4つです。腕だけでなく、お金と安全の管理が、独立後の収入を左右します。
独立の前に確かめたいこと
- 今の取引先の数と、1社に頼っている割合
- 1年分の経費(車・道具・保険)の見積もり
- 労災の特別加入団体と保険料
- 雨の日・閑散期の収入の見込み
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